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改正電気通信事業法に伴う外部送信規律を解釈する ーアフィリエイトにおける技術的観点からの考えー

目次

  1. はじめに
  2. 電気通信事業者とは
  3. 外部送信規律とは
  4. アフィリコードの解釈とその根拠
    1. アフィリエイター
    2. 広告主
    3. ASP事業者
  5. まとめ

はじめに

電気通信事業法改正により「外部送信規律」が定められました。これは、Web広告業界全般に影響を及ぼす重要なルールです。

広告に関して日々研鑽を重ねるアフィリコードは、計測システムを提供する立場からアフィリエイター・広告主・ASP事業者の三者に分類し、外部送信規律を考察しました。その結論は、電気通信事業に該当する広告主のみ外部送信規律の対象であり、アフィリエイターとASP事業者、および電気通信事業に該当しない広告主は、情報の外部送信に係る通知または公表を不要と考えます。

  1. アフィリエイター:対象外
  2. 広告主:電気通信事業者の広告主は対象
  3. ASP事業者:対象外

これらはアフィリコード・システムの仕様を前提とした解釈です。
以下、その詳細を解説します。

電気通信事業者とは

電気通信役務(情報の送信)が事業目的となっているオンラインサービスが該当します。一般的に、Webサイトやアプリを運営する多くの事業者が対象となります。一方、自社商品のECサイトは電気通信事業の対象外です。これは本来業務である小売業の手段として電気通信を用いているに過ぎず、自己需要のために電気通信サービスを提供しているからです。

総務省 電気通信事業 ガイドブック
https://www.soumu.go.jp/main_content/000799137.pdf

外部送信規律とは

電気通信事業者が、外部に利用者情報を送信する際、事前に通知か公開表示をするルールです。2023年6月16日に電気通信事業法が改正され、外部送信規律が追加されました。インターネットでビジネスを展開する際、利用者に対して透明性を高めることを義務化しています。

確認の機会の方法としては、利用者に通知すること。利用者が容易に知り得る状態に置くこと(公表)。同意取得またはオプトアウト措置の提供があること。これらのいずれかを行う必要があります。

外部送信規律をまとめると、以下になります。

  1. インターネットビジネスを行う多くの事業者に適用
  2. ブラウザ・アプリから送信される利用者情報が対象
  3. 利用者に確認の機会の付与(通知または公表)を義務化

アフィリコードの解釈とその根拠

システム利用者の立場で外部送信規律を考察する

アフィリコード・システムの仕様において、電気通信事業者に該当する広告主を除き、情報の外部送信に係る通知または公表は不要と考えます。

アフィリコードがこのような解釈にいたった理由を、それぞれの立場にたって解説します。

アフィリエイター

各種情報のオンラインサービスを提供している場合の妥当性から、総務省の資料では外部送信規律の対象になるとされます。

外部送信規律 | 外部送信規律に関するフローチャート
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf

個人事業主として利益を上げる目的で、広告やアフィリエイトプログラムなどを利用した各種情報提供サイト等を運営している場合は、YESです

外部送信規律に関するフローチャート P.15-16 ④の項

しかし、アフィリコード・システムのプログラム仕様から、アフィリエイターが利用する各機能は外部送信規律の対象外と解釈できます。

解釈:広告ページへ遷移するアフィリエイトリンク
アフィリエイトリンクは、サイト訪問者による外部へのページ遷移です。メディアに設置した広告遷移URLを、サイト訪問者が自発的にクリックしたブラウザ情報の取得は、メルマガ開封の仕組みと同様に、情報送信指令通信には該当しないと考えます。
根拠
「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説の改正案」に対する意見募集において提出された御意見及び考え方:7-1
総務省のガイドラインに関する考え方(P.39-41)では、「電子メールマガジンの送信自体は、当該送信それ自体により情報送信機能が起動するわけではないことを前提とすると、「情報送信指令通信」に該当しないと考えられると記載されています。
解釈:インプレッション計測をする広告タグ
インプレッション計測は外部送信を行っていますが、利用者を特定する情報(氏名、連絡先など)は外部送信していないため該当しないと考えます。
根拠
電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン | 外部送信に係る利用者に関する情報の取扱い:7-1-1
https://www.soumu.go.jp/main_content/000805807.pdf
外部送信規律は、情報送信指令通信を規律するものです。情報送信指令通信とは、利用に関する情報が記録された利用者の電気通信設備に対して、記録されている情報を利用者以外の電気通信設備に送信させる指令となるプログラムを送信することをいいます。
(3)利用者に関する情報
利用者の電気通信設備(端末設備)に記録されている情報であり、Cookieに保存されたIDや広告IDなどの識別符号、利用者が閲覧したWebページのURLなどの利用者行動に関する情報、利用者の氏名、利用者以外の者の連絡先情報などが含まれる。
解釈:広告を表示制御するタグ
SSPエンジンで広告を表示するため、ブラウザ情報の取得でPC・スマートフォンの判別をしています。これらはデバイスに記録されている情報ではないと考えられます。
総務省のガイドライン上では、ブラウザ情報の定義に関して具体的な記述がありません。ブラウザ情報はIPアドレス同様に、利用者の電気通信設備(端末設備)に記録された情報には該当しないことを前提にした場合、外部送信規律の対象外となります。

広告主

広告主が電気通信事業者に該当しなければ、外部送信規律の対象外です。

外部送信規律|<参考>電気通信事業法の適用に係る解説
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf

電気通信役務を必ずしも前提としない、別の自らの本来業務の進行の手段として電気通信サービスを提供する場合、電気通信事業に該当しない

電気通信事業法の適用に係る解説 P.17-18 の項

ただし、広告主が電気通信事業者に該当する場合、外部送信規律の対象であり、通知・公表が必要となります。

解釈:成果認証用のトラッキングタグ
広告主は、成果計測時にトラッキングタグ(track.php)を利用します。これらは、アフィリコード・システムが発行する広告IDや成果認証用のセッションIDが含まれます。Webサイトを訪問した利用者の情報を取得し、計測システムや外部サービスに送信するため、外部送信規律に該当すると考えます。
根拠
外部送信規律について | 外部送信規律の対象者
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf
総務省のガイドライン上では、顧客に電気通信役務を提供することがなければ成り立たないサービスの場合、電気通信事業に該当すると記述されています。利用者の端末に外部送信を指示する広告プログラムを送信する場合、通知または公表を利用者に対して行う必要があります。
外部送信規律の対象となる広告主
電気通信事業者に該当し、外部送信規律の対象となる広告主は、送信先を記載したページを作成するか、プライバシーポリシーに下記を追記してください。
  1. 送信される情報の内容
  2. 送信先となる事業者の氏名または名称
  3. 送信される情報の利用目的

外部送信規律|外部送信規律でやらなければならないこと
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf

通知または公表(容易に知り得る状態に置く)しなければならない事項
1. 送信されることとなる利用者に関する情報の内容
2. 1の情報を取り扱うこととなる者の氏名または名称
3. 1の情報の利用目的

外部送信規律でやらなければならないこと P.11-12の項

以下にプライバシーポリシーへの記載例を記します。
※広告主によって内容は異なります

外部送信の目的
本サービスでは、以下の目的で利用者情報を送信しています。
利用者に最適な広告を配信し、また、広告効果を測定する等、当社または第三者が配信する広告の最適化を目的として、広告配信事業者の広告サービスが設定するクッキー等により取得する利用者の情報を利用しています。
外部送信する情報
  1. 閲覧した内容についての情報(カテゴリー分類、商品名等)
  2. 閲覧の履歴(閲覧した日時、URL、リンク元のURL等)
  3. 閲覧した人や機器を識別する情報(ユーザーID、ブラウザ・デバイス識別子等)
  4. 閲覧した機器の位置についての情報(IPアドレス、GPS情報等)
  5. 外部送信プログラムの情報(タグなど)
外部送信先一覧
外部送信先:広告代理店名
送信している情報:広告識別子、端末やアプリの情報、行動履歴情報
外部送信先:Google Analytics/Google Tag Manager(Google LLC)
送信している情報:端末やアプリの情報、行動履歴情報
外部送信先:Google広告(Google LLC)
送信している情報:広告識別子、端末やアプリの情報、行動履歴情報
外部送信先:Facebook広告/Instagram広告(Meta Platforms, Inc.)
送信している情報:広告識別子、端末やアプリの情報、行動履歴情報

ASP事業者

利用者に対して「情報送信指令通信」を行う電気通信事業者には該当しません。下記の解釈により、外部送信規律の対象外と考えます。

解釈:対象は情報を送信する側
アフィリエイターまたは広告主から見た場合、ASPは外部送信先に該当します。しかしながら、ASP事業者は情報を受け取っているだけです。外部送信規律は受け取り側のルールではなく、あくまで情報送信側が対象です。また、キックバック通知においては、通知を受け取ったアフィリエイターは利用者端末に情報送信指令通信を行いません。そのため、外部送信規律の対象外であると考えます。
根拠
外部送信規律について | 外部送信規律の対象者
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf
総務省のガイドラインP.7では、以下が記載されています。「電気通信役務をブラウザまたはアプリケーションを通じて提供する際、利用者の端末に外部送信を指示するプログラム等を送信する場合、通知または公表が必要です」。

まとめ

外部送信規律に関するアフィリコードの解釈は以上です。

アフィリコード・システムの仕様において、電気通信事業者に該当する広告主を除き、情報の外部送信に係る通知または公表は不要と考えます。

  • アフィリエイター:対象外
  • 広告主:電気通信事業者の広告主は対象
  • ASP事業者:対象外

なお、情報の外部送信は、プライバシーを特定するものではありません。アフィリコードは、個人の名前や連絡先を収集せず、ビジネスを展開するうえで必要最小限の効果計測をしています。

あくまで当社の見解となるため、個別の事例やその判断につきましては、顧問弁護士または総務省にお問い合わせください。

総務省 外部送信規律
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/gaibusoushin_kiritsu.html

アフィリコード・システム

https://system.affilicode.jp/

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